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電子書籍ユーザーの購入傾向を考える [情報端末]

半年間、電子書籍を読んできて、感じたことがあります。それは、電子書籍は、「閲覧性の不足」のため、既読本や易しい本に流れがち、ということです。いずれ、ハードの進化や、使用者の慣れで、この傾向が改善されることを、願っております。果たして、ソニーは、新型Sony Readerで、どこまで状況改善に取り組めるのでしょうか?

どこまで使い勝手が良くなるか?期待の新型T1

■電子書籍の2番目の大きな課題・・閲覧性
Sony ReaderとiPad2を使用して痛感したのが、皆さん周知の「電子書籍の質量の少なさ」の次に、「閲覧性の悪さ」でした。ここでの閲覧性とは、次の3つです。

購入前に、
  (1)面白そうな本をみつけにくい
  (2)試し読みで内容を確認しにくい 
購入後に、
  (3)読んでいる本の全体像が把握しにくい

すなわち、

(1)面白そうな本を見つけにくい
昔ながらの「書店の本棚や平積み本から、面白そうな本を幾つかピックアップする」という方法が、パソコン画面の電子書籍サイトでは、苦手です。スクロールして20冊程度ですからね。各サイトは、他人のリコメンドやら、同じ傾向の本を紹介するなど、いろいろ工夫していますが、リアル書店には到底かないません。
つまり、電子書籍サイトで、新しく面白そうな本を見つけることは意外と難しいのです。

(2)試し読みで内容を確認しにくい
うまく面白そうな本を見つけても、内容確認が気軽にできません。「アタリを付けた本をサッと手にとってパラパラと内容を確認して、ピンときたら買う」方法が、文字通りできないからです。

まず、現行SonyReaderでは Web上で中身を確認することはできません。一部のサイトでは、ダウンロードして読むという「試し読み」ができますが、現行Sony Readerでは、パソコン経由なので非常に面倒くさいです。

新型のSony Readerは、Wifi/3G機能付きですから、Reader Store単独で、試し読みができるのでしょう。ただ、反応速度は心配です。ただ、既存機のユーザーとして、Wifi機能の使い勝手や、反応速度の改善がそれなりであれば、買っちゃうかもしれません。ちなみに、iPad2では、iPad2だけで試し読みできるサイトがあり、反応速度も上々です。

しかし、試し読みを気軽にできたとしても、まだまだリアルの「試し読み」には及びません。普通、書店で本の内容を確認するときは、本をパラパラとめくって、まず「全部を浅く」チェックするのが普通ではありませんか?特に、実用書や学術本などは、全章にわたってどんな論旨展開になるか、私は知りたいです。竜頭蛇尾に終わる本も結構多いですしね。

でも、各電子書籍サイトの試し読みは、、目次と「最初の一部を全部」見せるのが普通です。これで、全体の評価をするのは結構難しいです。小説のように、達人なら最初の書き出しですべてが判る、みたいな分野もあるかもしれませんが・・・・。
すなわち、電子書籍サイトで新しい本、じっくり読むのに値する本を購入するのは、結構面倒なのです。

(3)読書中、全体像が把握しにくい
ようやく購入できても、まだハードルはあります。
内容の入り組んだ本、論理的に少し難しい本や、伏線がバリバリの小説など、前をパラパラと見返し確認することありますよね。でも電子書籍は、特にSony Readerは、それが苦手です。iPad2は、アプリによって、そこそこ出来ますが、やはりリアル本にかなり劣ります。以前のコメントで述べたように、反応速度や、画面の小ささ、一画面しか見られない限界などで、難しいのです。
その結果、本の内容を俯瞰的に把握しにくく、手応えのある本の場合、迷路を懐中電灯で照らしながら歩いている印象があります。
要は、現在の電子書籍は熟読に不向きなのです。


■電子書籍の購入傾向
以上を踏まえると、多くの電子書籍読者は、次のような購入傾向になると思います。といいますか、私はこんな傾向です。

まず、新しい本を見つけるのが大変なので、手近な本に走ります。
 (1)既読本を購入する。または既読本の続刊を購入する。
 (2)読んだ実績のある著者の、別な著書を、著者を信用して購入する。
 (3)人の薦める本を購入する ←(私は現在、ココです)
 (4)購入のハードルを思いっきり下げ、「読める本を購入する」←(多くの人はココかな?)
それでもなかなか本が見つからない、それに、読み応えのある本は無意識に避けるので・・
 (5)内容が水戸黄門的に安心なものを購入する。(コミック・ラノベなど)
 (6)内容が一本調子な、あまり熟読の必要の無い本を購入する。(書き下ろし新書など)
 以下は、人によりますが、どうしても読みたいものを読みたい人は・・・・
 (7)自炊する (腕に覚えのある人専用の強行突破)

(5)(6)の内容はほぼ同じですね。この傾向に出版側も対応していることが、読み応えのある本より、マンガやラノベ、せいぜい書き下ろし新書止まりが電子出版のメジャーになっている現状の、原因のひとつではないかと邪推しております。 (もちろん、最大の障壁は著作権でしょう。難しい本は著作権者も難しいのでしょう)


■ラノベとボーイズラブ多すぎ!
電子書籍の中で、ライトノベル、BLもの、ハーレクイーンロマンスなどの存在感の高さには、当初はびっくりしました。それらを悪いとは言いませんが、リアルの割合とあまりに差がありすぎます。
おそらくそれらの愛好者層と電子書籍を扱える層が重なる、著者や出版社が著作権に寛大、こっそり読みたい需要がある、等の理由もあるのでしょうが、上述の「閲覧性の無さ」をあまり気にしない、電子書籍に向いているジャンルであることも間違いないと思います。
(さいわい、ソニーのReader Storeは一線を画しています。他の電子書籍サイトは、新刊を選びにくいったらありゃしない。)


■ソニーに望むこと
しかし、もちろん、我らがソニーには、今後の電子書籍の為にも、いつまでも現状に甘んじてもらっては困ります。

まずは、ハードの改善、特に反応速度の早さを液晶並みにすることが絶対条件です。それに加え、例えば、左右2画面として、連続ページも、別々なページも見られるようになれば、読書中の閲覧性は飛躍的に増すはずです。左を読みながら、右画面で前のページを参照するとかね。おや、Sony Tablet のPシリーズは2画面ですね。あとは、これを電子ペーパーにするだけ!あっさりクリアできそうな勢いじゃあないですか!

次に、上記(1)(2)(3)を解決するには、私に秘策があります。
岩波書店を買収して、岩波文庫の全部電子書籍化してしまえば良いのです!
電子書籍の悩みは、読むのに値する本を選びにくい、好きな著者が揃っていないことにあるのですから、そんなことに悩ませず、どーんと岩波文庫に委ねさせちゃえばいいんです。どの本も中身を確認しなくても間違いない数十年の歴史のお墨付き!全部モノクロ、図版もほとんどないのでSony Readerにぴったり!衰えたりといえども岩波文庫、その威光で、Reader Storeの格もうなぎ登り!ソニーの株も上がるよ!全国PTAと組めば、組織的な販売も可能!Kindleなんか怖くないさ!
どうでしょう、ソニーさん。映画会社を買収した後は、次はぜひ岩波書店を買収することを強くお勧めします。いや、出資だけでも良いですよ。活字離れの昨今、どうせ岩波書店の経営も楽ではないはずです。(←なんの根拠もない、完全な妄想の産物です。岩波書店さんすみません、なんなら苦境のソニーに出資してやってください。)
これで、当面の良質なコンテンツ確保をし、あとはビジネス書、自己啓発書に向かってください。ラノベなんぞ、DRMの無い他の電子書籍サイトに任せておけばOK。棲み分けですよ!

なんか、だんだん、Sony Readerの夜明けは本当に近いような気がしてきました。(なんとなく、クリエPDAと既視感!?) まあ、少なくとも電子書籍の夜明けは早く来て欲しいものです。(昨年でしたっけ?電子書籍元年って言われていたのは?)




■つけたし
閲覧性がないとか、質量が乏しいとか、電子書籍のイメージの悪いことを書きましたが、それにもまして、前回(少し)述べたような電子書籍のメリットが大きいので、私はずっと使っています。ですから、リーダーの購入を迷っている人はまずリーダーを購入することをお勧めします。新型も出ることだし。
タグ:SonyReader
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